2015/02/06

「且」の字源説の紹介

且

「且」の字源は俎(供物を置く台)の象形で、「俎」は脚を含めて描いたもの。
「宜」はその俎に「肉」を置いた形だが、戦国時代に「肉」がひとつになり大きく字体が変わった。

「且」は甲骨文金文では祖先の意味に用いられる。
春秋戦国時代に「示」を付した「祖」の字ができた。

2015/02/05

「万」に関する仮説の紹介

「万」は甲骨文では地名や祭名などにも用いられているが、主に舞に関する記述が多い。
合集28461「〼乎万舞。」
合集31033「叀万舞。 大吉」
合集31032「王其乎万舞〼 吉」
合集28180「叀万舞盂田,又雨。 吉」
「乎万舞」は「万」に「舞」をさせたということである。
よって「万」は「舞」をする人、またはその「舞」の名前なのではないかという説がある。

「萬」は甲骨文ではほとんど数詞であるが、後に似た用法がある。
《漢語大詞典》「萬」
│ 5.舞名。
│  《左傳‧莊公二十八年》:“楚令尹子元欲蠱文夫人,為館於其宮側,而振《萬》焉。”
│ 6.指跳《萬》舞。
│  《左傳‧隱公五年》:“九月,考仲子之宮,將《萬》焉。”
《漢語大詞典》「萬舞」
│ 1.古代的舞名。先是武舞,舞者手拿兵器;後是文舞,舞者手拿鳥羽和樂器。亦泛指舞蹈。
│  《詩‧邶風‧簡兮》:“簡兮簡兮,方將萬舞。”
│   毛傳:“以干羽為萬舞,用之宗廟山川。”

一方、春秋戦国時代の貨幣・璽印には「三万」「八万」「千万」のように「万」を数詞に使う用法が多く見られる。

これらのことから、同音(あるいは近音)異義の「万」(元明)と「萬」(元微)の二字が西周後~春秋頃に混用されたということが推測される。

万

「万」は何らかの象形文字であろうが、確証には至っていない。
「人」「元」「卩」等の字形に近いことから人に関係するのではないかといわれている。
なお、「賓」は「宀+万」あるいは「宀+万+止」、金文では「宀+万+貝」からなる。

2015/02/03

「丁」の字源説の紹介

「城」は「都市を囲む城壁」が本義だ。
《漢語大詞典》「城」
│ 1.都邑四周的墻垣。一般分兩重,裡面的叫城,外面的叫郭。城字單用時,多包含城與郭。城、郭對舉時只指城。
《漢語大字典》「城」
│ 1.都邑四周用作防守的墻垣,内稱城,外稱郭。如:城里。
《漢字源》「城」
│ 1.しろ。都市をめぐる城壁。
│  ▽中国では、日本とは違い、町全体を城壁で取り巻き、その中に住民をまとめて住まわせる。四方に城門がある。城外の街道沿いに発達した市街地には、さらに郭(外城)をめぐらして、外敵から守る。

「丁」はこの城壁の象形。という説。
丁

何琳儀《戰國古文字典 - 戰國文字聲系》「丁」
│ 丁,甲骨文作@,象城邑之形(參邑、國、𨛜、𠳵等字所从@旁)。城之初文。丁、成、城一字之孳乳。
何琳儀《戰國古文字典 - 戰國文字聲系》「成」
│ 成,甲骨文作@。从戌(象斧形),从丁(象城邑形),會城邑與軍械之意,城之初文。丁、成、城一字之分化。丁亦聲。
落合淳思《甲骨文字小字典》「丁」
│ 甲骨文字では、「@」の形が最も多く使われているのは城壁の意味であり、
│ 例えば、邑は城壁とそこに住む人を表す卩から成り、正は城壁に足を向ける形で征伐の意である。
│ したがって、丁は城壁の象形であると考えられる。

2015/02/01

「同音の漢字による書きかえ」3

●掩護→援護
「掩護」は戦闘行動の場合にしか使わないらしい。それ以外は「援護」。
古坂明詮《時局下に於ける軍事援護事業について》(1938)は軍の話題なので混乱しやすいけど、単純に助ける「援護」のほう。
大日本国語辞典》(1915)、《大日本国語辞典》(1941)には「掩護」しか載っていない。

●恩誼→恩義
《漢語大詞典》「恩誼」
│ 1.恩德情誼。
│  《醒世恒言‧李玉英獄中訟冤》:“此行一則感老爺昔日恩誼,二則見公子窮途孤弱,故護送前來。”
《漢語大詞典》「恩義」
│ 1.道義;恩情。
│  《淮南子‧人間訓》:“或有功而見疑,或有罪而益信,何也?則有功者離恩義,有罪者不敢失仁心也。”
「恩誼」はよしみ、いつくしみ。「恩義」は恩と義理。ということらしいがよくわからない。
そもそも「誼」の字が「義」から派生した字のようで区別する意味がないように感じる。
大日本国語辞典》(1915)では項目が統合されている。