2016/04/24

《大漢和辞典》第二巻中の難字3

【𠥿】【𠆱】【𠦎】【𠦊】【𠦏】 【𠦐】【𠦋】【𠦗】【𠦧】【𠦨】
【𠧒】【𠧖】【𠀝】【𠧕】【𡥋】 【𠧰】【𠧿】【𠨊】【𠨌】【𠨕】
【𠨤】【𠨦】


【𠥿】2705 シヨク 義未詳 〔海篇〕𠥿、音食。
《新修玉篇》卷三十《十部》引《類篇》 (236d)
  [⿰巳十],音食。
《篇海》卷十二《十部》引《類篇》 (463b)
  [⿰巳十],音食。
 待考。

【𠆱】2710 セキ 義未詳 〔字彙補〕𠆱、心七切、音析、與什不同。
《新修玉篇》卷三《人部》引《類篇》 (22a)
  [⿰亻斗],音祈。
《篇海》卷十五《人部》引《類篇》 (512c)
  [⿰亻斗],音祈。
 「𠆱」は「⿰亻斗」の誤で、「⿰亻斗」はおそらく「祈」の換旁異体字である。《叢考》(45,47)参照。

【𠦎】2726 キン 義未詳 〔字彙補〕𠦎、口刃切、音𠞱。
《新修玉篇》卷三十《龍龕雑部》平聲引《會玉川篇》 (242c)
  𠦎,口刀切。
《篇海》卷六《八部》俗字背篇 (352d)
  𠦎,口刃切。
 「𠦎」は「夲」の異体字である。
 《玉篇》卷九《夲部》「夲,丑髙切。往來見皃。《説文》曰:“進趣也。从大从十。大十猶兼十人也。”𠦂,同上。」(186)、《名義》卷九《夲部》「[⿳八人十],𠡠髙反。進趣也。」(94b)、《龍龕》卷一《人部》平聲「𠦍,土刀【反】。進趍也。今作“𠦂”字。」(26)、「𠦎」「⿳八人十」「𠦍」はきわめて近形、同一字種である。「𠦎」の「口刃切」は「丑刀切」の誤り。《考釋》(15)参照。

【𠦊】2727 カン 義未詳 〔字彙補〕𠦊、和南切、音含。
《龍龕》卷一《云部》平聲 (191)
  𠦊,音含。
 待考。

【𠦏】2728 ヰ・ワイ 義未詳 〔海篇〕𠦏、音倭、又音矮。
《篇海》卷二《十部》引《龍龕》 (463b)
  𠦏,倭、矬二音。
 待考。

【𠦐】2729 シ 義未詳 〔字彙補〕𠦐、音次。
《新修玉篇》卷三十《十部》引《類篇》 (236d)
  𠦐,音次。
《篇海》卷十二《十部》引《類篇》 (463b)
  𠦐,音次。
 「𠦐」は「次」の古文=「𠂔」の篆書を楷書化したものである。《六書通》卷下《去聲》次字「𠦐,古文奇字。」(252)、《古文研究》「“次”字下收古文眾多,凡十餘見,但都是“𠂔”的訛形,《注釋》(86頁)已經排列出相關演變序列,可參看,此處假“𠂔”為“次”。」(545)とある通りである。

【𠦋】2730 ケイ 義未詳 〔篇韻〕𠦋、音痙。
《新修玉篇》卷一《上部》引《古龍龕》 (8a)
  𠦋,巨謹切。
《篇海》卷十二《上部》引《搜真玉鏡》 (461b) ※成化本は引《餘文》
  𠦋,巨謹切。
 「𠦋」は「近」の古文=「旂」の篆書を楷書化した字である。
 《玉篇》卷十《止部》「𣥍,巨謹切。古文近。」(200)、《龍龕》卷四《卜部》「[⿸⿱上丿千]𠧣,二音近。」(539)、同卷二《止部》上聲「𣥍𣥪[⿳止丿冂],音近。三。」(335)、《集韻》上聲《隱韻》巨謹切「近,巨謹切。迫也。古作“[⿱上斤]”。」、上諸字と「𠦋」は近形同音、全て「近」の古文を楷書化したものである。《叢考》(10)参照。また《古文研究》「古文从止斤聲,其从的“止”代表的是“㫃”旁,古文為“旂”字。金文中“旂”字作□、□、□、□(《金文编》461—462 頁),古文當由類形體演變而來,則古文借“旂”為“近”。」(732)のいう通り。

【𠦗】3736 タイ 義未詳 〔海篇〕𠦗、音堆。
《龍龕》卷四《十部》 (537)
  𠦗,都回反。
 「𠦗」は「垖(堆)」が変化した字である。《龍龕》卷二《土部》平聲「塠[⿰土⿺辶㠯]𡊊垖,四俗。𡌙,通。堆,正。都回反。土聚丘阜也。六。」(245)、「𠦗」「𡊊」は同音近形、同一字種である。《叢考》(21)参照。

【𠦧】2754 シフ 義未詳 〔海篇〕𠦧、音汁。
《新修玉篇》卷三十《十部》引《會玉川篇》 (236d)
  𠦧,音汁。
《篇海》卷十二《十部》引《川篇》 (463b)
  𠦧,音汁。
 待考。

【𠦨】2755 ラン 義未詳 〔海篇〕𠦨、音亂。
《龍龕》卷四《十部》 (537)
  [⿱⿰⿱夕火⿹勹丿十],音乱。
 「𠦨」は「⿱⿰⿱夕火⿹勹丿十」の訛、「⿱⿰⿱夕火⿹勹丿十」はおそらく「亂」の傳抄古文を楷書化した字である。「亂」の傳抄古文は楚系文字に由来する。《叢考》(22)参照。

【𠧒】2776 キツ 義未詳 〔字彙補〕𠧒、丘吉切、音乞。
 「𠧒」は「乞」が変化した字である。《干祿字書・入聲》「𠧒乞,上俗,下正。」とある。

【𠧖】2786 チヨ 義未詳 〔海篇〕𠧖、音楮。
《龍龕》卷一《人部》上聲 (32)
  𠧖,俗。昌吕反。
《龍龕》卷四《卜部》 (539)
  𠧖,俗。昌吕反。
 待考。《叢考》(72)は「処」が変化した字ではないかとするが、同音であることしか根拠が無い。

【𠀝】2787 コウ 義未詳 〔字彙補〕𠀝、苦紅切、音空。
《新修玉篇》卷一《上部》引《古龍龕》 (9a)
  𠀝,苦紅切。
《篇海》卷十二《上部》引《搜真玉鏡》 (461b) ※成化本は引《餘文》
  𠀝,苦紅切。
 「𠀝」はおそらく「空」の会意異体字である。《叢考》(4)参照。

【𠧕】2788 クワ 義未詳 〔字彙補〕𠧕、孤阿切、音和。
《龍龕》卷四《雜部》平聲 (546)
  𠧕,音和。
 待考。

【𡥋】2795 クワイ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𡥋、音會。
《龍龕》卷四《卜部》 (539)
  𡥋,音㑹。
 「𡥋」はおそらく「會」の傳承古文「㞧」が変化した字である。《叢考》(529)参照。「會」の傳承古文を《古文研究》(230,619)は「旆」あるいは「綏」ではないかとする。

【𠧰】2814 キョ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𠧰、音虛。
《龍龕》卷四《卜部》 (539)
  𠧰,音虚。
 「𠧰」はおそらく「虛」の傳承古文を楷書化したものである。

【𠧿】2825 カウ 義未詳 〔五音篇海〕𠧿、音衡。
《篇海》卷六《卜部》引《搜真玉鏡》 (353a)
  𠧿,胡庚切。
 「𠧿」は「衡」の古文を楷書化したものである。
 《玉篇》卷二十六《角部》「衡,乎庚切。橫也,平也,斤兩也,持牛令不牴也。衡門,横木也。又盱衡,舉眉揚目也。[⿳卜𠕎大],古文。」(480)、《名義》卷二十六《角部》「衡,胡庚反。横也,軛。[⿳卜冖𪥄],上古文。」(265b)、《集韻》平聲《庚韻》何庚切「衡,《説文》:“牛觸,橫大木。”著其角也。引《詩》:“設其楅衡。”一曰橫一木爲門也。一曰平也。又姓。亦州名。古作𡘻。」(228)、また《龍龕》卷四《穴部》平聲「𥥓𥥌,二音衡。」(508)、同《卜部》「𠧲[⿱卜⿵𠘨⿱公天][⿱卜⿵𠘨⿱工巾]𠧽[⿳卜𠕎大][⿳卜𠔿大],音衡六字。」(538)、《新修玉篇》卷十八《卜部》引《類篇》「[⿳卜𡆾八],音衡。」(160d)、《篇海》卷六《卜部》引《類篇》「[⿱卜⿵𦉪矢],音衡。」(353a)、同引《搜真玉鏡》「[⿱卜⿵𠘨𡗞],音行。」(353b)、上諸字はみな近形同音、全て「衡」の古文を楷書化した字である。
 「衡」の古文は楚系文字「⿱角大」に由来する。

【𠨊】2833 カク 義未詳 〔五音篇海〕𠨊、音角。
《篇海》卷六《卜部》俗字背篇 (353a)
  [⿰⿱𠀎冄外][⿰⿱龷冉外],音角。
 「𠨊」は「斠」が変化した字である。《廣韻》入聲《覺韻》古岳切「斠,平斗斛。」(464)、「𠨊」「斠」は同音近形である。《考釋》(21)参照。

【𠨌】2835 スイ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠨌、音雖。
《篇海》卷六《卜部》引《搜真玉鏡》 (353b)
  𠨌,音雖。
 待考。

【𠨕】2852 キ 義未詳 〔字彙補〕𠨕、其利切、音忌。
《篇海》卷二《己部》引《搜真玉鏡》 (272b)
  [⿱⿰巳巳巳],音忌。
 待考。

【𠨤】2885 音未詳 山神の名。 〔太清金液神氣經〕北嶽姓𠨤、名𠨤君。
 待考。

【𠨦】2888 イウ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𠨦、音憂。
《篇海》卷二十八卩部「[𠨦]音憂。
 「𠨦」は「憂」の傳承古文=「夒」の篆書を楷書化した字である。《古文四聲韻》卷二第十九引《崔希裕纂古》「憂;⿺⿱百兀⿰⿱工厶巳」、「⿺⿱百兀⿰⿱工厶巳」は「憂」と疊韻(幽部)の「夒」が変化した字である(参《古文研究》(477))。「𠨦」と「⿺⿱百兀⿰⿱工厶巳」は同音近形、同一字種である。


2016/04/22

《大漢和辞典》第二巻中の難字2

【𠛊】【𠜈】【𠜄】【𠜃】【𠜞】 【𠝜】【𠝑】【𠝲】【𠝳】【𠞣】
【𠞗】【𠟒】【𠆮】【𠡋】【𠡣】 【𠡥】【𠡤】【𠡶】【𠡷】【𠢃】
【𠢌】【𠢪】【𠢛】【𠢚】【𠢮】 【𠢩】【𠢵】【𠢾】【𠣗】【𠣕】
【𠤝】【𠥘】【𠥨】【𠤲】【𠥵】

2016/04/17

《大漢和辞典》第二巻中の難字1

【𠔍】【𠔎】【𠔑】【𠔞】【𠔬】 【𠕌】【𠕕】【𠕡】【𠕫】【𠕿】
【𠖂】【𠖆】【𠖋】【𠖬】【𠖵】 【𠗏】【𠗩】【𠘁】【𠘦】【𠘪】
【𠘺】【𠘻】【𠙁】【𠙂】【𠫮】 【𠙎】【𠙔】【𠙕】【𠙞】【𠁉】
【𠙤】【𠚄】【𠚃】【𠚅】【𠚉】 【𠚊】【𠚌】【𢍭】【𢇕】【𠚠】


【𠔍】1468 セイ 義未詳 〔海篇〕𠔍、音西。
《龍龕》卷一《由部》 (201)
  𠔍,[音西]。
 「𠔍」は「西」の説文籀文「卤」を楷書化したものである。《叢考》(83)参照。

【𠔎】1469 キン 義未詳 〔海篇〕𠔎、欽上聲。
《篇海》卷六《八部》俗字背篇 (352d)
  𠦎,口刃切。
《字彙補》子集《八部》補字 (469c)
  𠔎,孔錦切,欽上聲。義無考。
 「𠔎」は「𠦎」の訛、「𠦎」は「夲」が変化した字である。《集韻》平聲《豪韻》他刀切「𠦎,《説文》:“進趣也。从大十。猶兼十人也。”」(193)、《説文》卷十下《夲部》「夲,進𧼈也。从大十。大十者、猶兼十人也。」、《集韻》の「𠦎」は《説文》の「夲」と同字である。《篇海》の「口刃切」は「丑刀切」の訛である。《考釋》(42)参照。

【𠔑】1476 ガイ 義未詳 〔五音篇海〕𠔑、音害。
《新修玉篇》卷三十《龍龕雑部》去聲引《會玉川篇》 (242d)
  𠔑,音害。要也。
《篇海》卷六《八部》 (352d)
  𠔑,音害。
 「𠔑」はおそらく「𡕗」の異体字である。《王三》去聲《泰韻》胡盖反「𡕗,相遮要。」(494)、「𠔑」と「𡕗」は同音近義である。ただし字体は遠く、なぜ二分に従うかはわからない。待考。

【𠔞】1489 音未詳 神の名。 〔字彙補〕𠔞、音未詳。〔五嶽眞形圖〕中岳姓惲名𠔞。
《字彙補》子集《八部》補字 (469d)
  𠔞,《五岳眞形圖》中岳姓惲名𠔞。音無考。
 待考。

【𠔬】1496 音義未詳 〔字彙補〕𠔬、出道藏、音未詳。
《字彙補》子集《八部》補字 (469d)
  𠔬,出《道藏》。音未詳。義見[⿳昍一昍]字注。
 待考。

【𠕌】1526 シヨウ 義未詳 〔字彙補〕𠕌、將松切、音踪。
《字彙補》子集《冂部》補字 (470b)
  𠕌,將松切,音踪。《海篇》:“同乳也。”
 「𠕌」は「𠕁」の訛、「𠕁」は「囱」が変化した字である。
 《玉篇》卷二《冂部》「𠕁,音琮。𠕁孔也。」(37)、《字彙補》の「將松切=音踪」は「音琮」、「同乳也」は「𠕁孔也」の近形字の誤である。P.2014《五代本切韻》平聲《冬韻》此琮反「𠕁,通孔。亦忩。」(744)、《箋二》平聲《江韻》楚江反「窓,按《説文》作此“𠂥”。又従穴作此“𥥚”。」(152)、《玉篇》卷二十一《囪部》「囪,楚江切。《説文》曰:“在牆曰牖,在屋曰囪。”又千公切。通孔也。竈突也。」(395)。
 「𠕁」「𠂥」「囪」は全て近形近音近義で同一字種、「囪(囱)」の変化した字である。《叢考》(43)、《考釋》(26)参照。

【𠕕】1532 ケイ 義未詳 〔呉韻〕古詠切、音扃。
《篇海》卷二《冂部》引《搜真玉鏡》 (271c)
  [⿵冂另],為扃。出《吴》。
 待考。

【𠕡】1548 音未詳 竈𠕡は影の神の名。 〔字彙補〕𠕡、音未詳、影神七名竈𠕡見談薈。
《字彙補》子集《冂部》補字 (470b)
  𠕡,音未詳。《談薈》影神七名竈𠕡。
 待考。

【𠕫】1558 音義未詳 〔字彙補〕𠕫、音未詳、穆天子傳、𠕫天之歌。
《字彙補》子集《冂部》補字 (470b)
  𠕫,《穆天子傳》:“𠕫天之詩。”闕音。
 待考。《漢語大字典・心部》(2508b)は「𠕫,同“昊”。」とする。

【𠕿】1574 ワウ 義未詳 〔海篇〕𠕿、音汪。
《新修玉篇》卷十五《冖部》引《類篇》 (140c)
  𠕿,音汪。
《篇海》卷七《冖部》引《類篇》 (371b)
  𠕿,音汪字。
 待考。《古俗字略》卷三《陽韻》(60b)は「汪」の古字としている。

【𠖂】1575 レウ 義未詳 〔海篇〕𠖂、音尞。
《龍龕》卷四《雑部》平声 (545)
  [⿱𠘨⿺九乆],音尞。
《新修玉篇》卷三十《龍龕雑部》平聲 (243b)
  [⿵𠘨⿺九久],音尞。
《篇海》卷七《冖部》 (371c)
  𠖂,音尞。
 待考。

【𠖆】1578 バウ 義未詳 〔字彙補〕𠖆、明諍切、音孟。
《新修玉篇》卷十五《冖部》引《類篇》 (140c)
  [⿱冖⿺玌䖝]𠖆[⿱冖⿰日⿺乚昌],並音猛。
《篇海》卷七《冖部》引《類篇》 (371c)
  [⿱冖⿺玌虫]𠖆[⿱冖⿰日⿺乚昌],三音猛。
 「𠖆」は「黽」が変化した字である。《龍龕》卷四《冖部》「[⿱冖⿻𦥑乚][⿱㓁电][⿱㓁⿰⿷匚一⿺乚目][⿱冖⿰⿷匚一⿺乚日][⿱冖⿺⿱一⿶𠃏二百]五俗。音猛。正作黽。蛙属也。」(536)、上掲字と「𠖆」は同音近形、全て「黽」の変化した字である。

【𠖋】1581 イウ 義未詳 〔海篇〕𠖋、音酉。
《新修玉篇》卷十五《冖部》引《類篇》 (140c)
  𠖋,音酉。
《篇海》卷七《冖部》引《類篇》 (371c)
  𠖋,音酉。
 「𠖋」はおそらく「酉」が変化した字である。「酉」は多く「⿳一八目」に作る。この「⿳一八目」がさらに変化したのが「𠖋」だと思われる。

【𠖬】1608 ヒヨウ 義未詳 〔海篇〕𠖬、音馮。
《新修玉篇》卷二十《冫部》引《類篇》 (175a)
  𠖬,音鳩。
《篇海》卷六《冫部》引《類篇》 (350a)
  𠖬,音鳩。
 「𠖬」は「丩」が変化した字である。「丩」はまた「𠃏」に作り、《正字通》子集上《乙部》「𠃏,俗丩字。」(43d)とある。「𠃏」がさらに変化したのが「𠖬」である。《廣韻》平聲《尤韻》居求反「丩,相糾繚也。」(208)、《王三》平聲《尤韻》居求反「𠖬,𥾆繚。」(466)、「丩」「𠖬」は同音同義、同一字種である。「音馮」は「音鳩」の誤。《叢考》(111)参照。

【𠖵】1618 カウ 義未詳 〔海篇〕𠖵、降平聲。
《龍龕》卷一《冫部》平聲 (187)
  𠖵,下江反。正作瓨,今作缻、甖也。
 「𠖵」は《龍龕》にあるように「瓨」が変化した字である。《叢考》(112)参照。

【𠗏】1653 セキ 義未詳 〔字彙補〕𠗏、音寂、見篇韻。
《篇海》卷六《冫部》引《搜真玉鏡》 (350a)
  〾𠗏,音寂。
 待考。《篇海》の字形は旁の「身」の中の二画がない字であり、《字彙補》が「𠗏」に作るのは誤りである。《叢考》(114)参照。

【𠗩】1682 ラク 義未詳 〔字彙補〕𠗩、力獲切、音硦、出呉志。
《篇海》卷六《冫部》引《搜真玉鏡》 (350a)
  𠗩,力𫉬切。出《吴志》。
 待考。

【𠘁】1705 ホウ 義未詳 〔字彙補〕𠘁、音部。
《篇海》卷六《冫部》引《搜真玉鏡》 (350a)
  𠘁,蒲厚切。
 待考。

【𠘦】1736 ヤ 義未詳 〔五音篇海〕𠘦、音冶。
《新修玉篇》卷二十《冫部》引《類篇》 (175a)
  𠘦,音冶。
《篇海》卷六《冫部》引《類篇》 (350a)
  𠘦,音治。
 「𠘦」は「冶」の換旁異体字である。「冶」はしばしば「蠱」に借りられる。《馬王堆・養生方》173行「各蠱,并以□若棗脂完,大如羊矢。」、《文選》卷二漢・張衡《西京賦》「妖蠱豔夫夏姬,美聲暢於虞氏。」(薛綜注「蠱,音也,媚也。」 )、《太平廣記》「蠱容誨婬。」(原文《易・繫辭上》「冶容誨婬。」)、等等、これらの「蠱」はすべて「冶」の意味で用いられている。「𠘦」はこの「冶」と「蠱」から産まれた字であり、《字彙補》子集《冫部》「𠘦,以者切,音治。義亦同。」(471a)とあるのは正しく、《篇海》の「音治」は「音冶」の訛である。

【𠘪】1742 シ 義未詳 〔字彙補〕𠘪、少士切、音始。
《篇海》卷十二《𠘨部》俗字背篇 (460d)
  ⿵𠘨几,音始。
 待考。「𠘪」は「⿵𠘨几」の訛。音からして「始」の傳承古文「乨」が変化したものだろうか。

【𠘺】1754 サ 義未詳 〔五音篇海〕𠘺、蘇个切、娑去聲。
《龍龕》卷一《云部》去聲 (191)
  𠘺,昌介反。
《龍龕》卷二《几部》去聲 (333)
  𠘺,蘇个反。
 待考。

【𠘻】1755 キ 義未詳 〔篇海〕𠘻、音旡。
《龍龕》卷四《雑部》平聲 (546)
  [⿱凡几],音旡(无)。
《篇海》卷一《雜部》平聲 (260a)
  𠘻,音旡(无)。
 「𠘻」「⿱凡几」はおそらく「无」が変化した字である。《叢考》(88)参照。

【𠙁】1762 チヤウ 義未詳 〔篇海〕𠙁、音長。
《龍龕》卷二《几部》上聲 (333)
  𠙁,音長。
 「𠙁」は「長」の古文を楷書化した字である。《龍龕研究》(280)参照。

【𠙂】1763 シヨウ 義未詳 〔海篇〕𠙂、音從。
《龍龕》卷二《几部》平聲 (333)
  [⿺𠘭几][⿰𠘭几][⿰⿱口几几]𠙂,古文。音従。四。
 待考。《叢考》(89)は「從」の異体字ではないか、とするが根拠がない。

【𠫮】1773 ソウ 義未詳 〔字彙補〕𠫮、子斗切、音走。
《篇海》卷二《几部》引《搜真玉鏡》 (274b)
  𠫮,音徒。
 《篇海》卷二《几部》引《搜真玉鏡》「[⿰⿱厶爪几],音從。」(274b)、《篇海》卷十《厶部》引《搜真玉鏡》「[⿰䏍几],音從。」(420d)、「𠫮」と「⿰⿱厶爪几」「⿰䏍几」は近形、おそらく同一字種である。「音徒」「音走」は「音從」の訛。《叢考》(90)はこれらの字を「從」の異体字ではないか、とするが根拠がない。

【𠙎】1774 シユ 義未詳 〔海篇〕𠙎、音樞、又音殊。
《篇海》卷二《几部》引《搜真玉鏡》 (274b)
  𠙎,昌俱切,又音殊。
 「𠙎」はおそらく「㼡」の変化した字である。「㼡」は《廣韻》平聲《虞韻》市朱切「㼡,小甖。」(76)とあり、「𠙎」の「音殊」と近形同音である。《叢考》(89)参照。

【𠙔】1781 キウ・ク 義未詳 〔字彙補〕𠙔、古臼切、音救。
《篇海》卷十二《𠘨部》俗字背篇 (460c)
  [⿵𠘨⿱白土],音救。[⿵𠘨⿱卜㫔],同上。
《龍龕》卷一《𠘨部》 (128)
  [⿵𠘨⿱十㫐],音救。
 「𠙔」は「⿵𠘨⿱白土」の訛、「⿵𠘨⿱白土」は「廏」の古文を楷書化した字である。《玉篇》卷二十二《广部》「廏,居又切。二百六十匹馬也。[⿳九十㫐],古文」(407)、「𠙔」「⿳九十㫐」は近形同音、同一字種である。「廏」の古文は楚文字を由来とする。《叢考》(92)参照。

【𠙕】 ベイ・マイ 義未詳 〔字彙補〕𠙕、無迷切。
《篇海》卷十二《𠘨部》俗字背篇 (460d)
  𠙕,于圭切。
 待考。

【𠙞】1788 クワク 義未詳 〔海篇〕𠙞、乎麥切。
《篇海》卷二《几部》引《搜真玉鏡》 (274b)
  𠙞,乎麥切。
 待考。

【𠁉】1795 シヨ 義未詳 〔字彙補〕𠁉、充疏切、音初。
《篇海》卷十二《𠘨部》俗字背篇 (460d)
  𠁉[⿵𠘨⿱昍用],二音初字。
 「𠁉」は「初」の武周新字「𡔈」が変化した字である。

【𠙤】1796 セフ 義未詳 〔海篇〕𠙤、音接。
《篇海》卷二《几部》引《搜真玉鏡》 (274b)
  𠙤,子捻切。
 待考。また字は「⿺〾凡接」「⿰接〾凡」「⿺九接」「𤮌」に作る。《叢考》(93)参照。

【𠚄】1819 リ 義未詳 〔海篇〕𠚄、音里。
《龍龕》卷二《凵部》 (340)
  𠚄,音里。
 「𠚄」は「齒」の説文古文を楷書化した字である。「音里」は「昌里切」の誤り。《考釋》(65)参照。

【𠚃】1820 カウ 義未詳 〔五音篇海〕𠚃、音毫。
《龍龕》卷二《凵部》 (340)
  𠚃,音毫。
 待考。「号」が変化した字か。

【𠚅】1821 チ 義未詳 〔海篇〕𠚅、音致。
《龍龕》卷二《凵部》 (340)
  𠚅,地尔反。
 「𠚅」は「𠚄」が変化した字で、「齒」の説文古文を楷書化した字である。《考釋》(345)参照。

【𠚉】1823 レン 義未詳 〔五音篇海〕𠚉、音連。
――《龍龕》卷二《凵部》 (340)
  𠚉,音逋。
 「𠚉」はおそらく「逋」あるいは「𢔣」の異体字である。
 《玄應音義》卷七・《慧琳音義》卷二十八《正法花經》第二卷音義「𠆐,經文或作𠚏,此應逋字,補胡反。逋,逃也。《廣雅》:“逋,竄也。”」、《可洪音義》卷五《正法華經》第二卷音義「𠆐,徒困反。逃也,隱也。正作遁、遯、𨙆三形也。上方經作[⿻𦥛一],《經音義》作𠚏,並同音遁。」(59/705b)、対応経文:西晋・竺法護譯《正法華經》卷二「若干種鳥,眷屬圍繞,種種虺蛇,蝠螫遁(宋、宮本作「⿶⿶千凵凵」,元、明本作「逋」)竄。」(T09,p0076b)。「𠚉」「𠚏」は近形同音、同一字種である。
 《龍龕研究》(284)、《續考》(17)は《玄應音義》より「𠚉」を「逋」の異体字とする。《經音義文字研究》(87)は近形近義の「𢔣」の減画異体字が変化した字とする。

【𠚊】1824 チヤウ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𠚊、音暢。
《龍龕》卷二《凵部》 (340)
  𠚊,音〾輰。
 「𠚊」は「𠚍」が変化した字で、「鬯」の減画異体字である。「音輰」は「音暢」の誤り。《叢考》(142)参照。

【𠚌】1828 ウン 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠚌、於云切。
《篇海》卷二《凵部》引《搜真玉鏡》 (292a)
  𠚌𠚓,於云切。
 「𠚌」は「㚃」が変化した字である。
 《龍龕》卷二《凵部》「[⿱吉⿶凵大],《切韻》。〾𠚟𠚓,二,《玉篇》。於云切。―,《切韻》欝也。《經音》《玉篇》壷也。又因、㡓二音。三。」(340)、《王三》平聲《文韻》於云反「[⿱吉⿶凵凶],又於神反。」(450)、同《眞韻》於倫反「[⿱吉⿶凵凶],鬱。又於芬反。」(449)、《廣韻》平聲《文韻》於云切「㚃,鬱也。」(110)、《集韻》平聲《諄韻》伊眞切「㚃,壹㚃。不得𣳘也。」(125)。「⿱吉⿶凵大」「𠚟」「𠚓」「⿱吉⿶凵凶」と「㚃」は近形同音同義、「𠚌」とこれらの字は近形同音、すべて「㚃」が変化した字である。

【𢍭】1838 シ 義未詳 〔五音篇海〕𢍭、音寺。
《新修玉篇》卷九《凵部》引《類篇》 (84b)
  𢍭,音兕。
《篇海》卷二《凵部》引《類篇》 (292a)
  𢍭,音寺。」
 「𢍭」は形音からみておそらく「兕」の異体字である。「兕」は多く「𠒃」「𠒊」と書かれる(参北齊《劉悦墓誌》、S.189《老子道德經》等)。「𠒊」はまた「兕」の影響で「⿱凹𠒊」の字体となり、それがさらに変化して「𢍭」が生まれたものと思われる。

【𢇕】1842 イウ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𢇕、音幽。
《龍龕》卷二《凵部》 (340)
  𢇕,音齒。
 「𢇕」は「齒」が変化した字である。《康熙字典》の「音幽」は「音齒」の誤り。《考釋》(345)参照。

【𠚠】1844 ヒウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠚠、音彪。
《篇海》卷二《凵部》引《搜真玉鏡》 (292a)
  𠚠,音彪。
 「𠚠」は「豳」が変化した字である。「音彪」は「音虨」の誤り。《考釋》(65)参照。


2016/04/09

《大漢和辞典》第一巻中の難字2

【𠋜】【䣏】【𠋞】【𠌕】【㑸】 【𠌚】【𠌞】【𠍚】【𠍛】【𠍝】
【𠍗】【𠍃】【𠎭】【𠏛】【𠏽】 【𠏽】【𠐠】【𠐹】【𠑐】【𠑞】
【𠑡】【𠑰】【𠒏】【𠒮】【𠓊】 【𠓙】【𠓞】【𠓣】【𠇒】【𠓦】
【𠓿】


【𠋜】915 クワ・シン 義未詳 〔海篇〕𠋜、音過、又音信。
《篇海》卷十五《人部》九畫引《搜真玉鏡》 (516b)
  [⿰亻⿱小言],古臥切。又音信字。
 「𠋜」は「⿰亻⿱小言」の訛、「⿰亻⿱小言」は「諐」が変化した字である。
 《篇海》卷十五《人部》十畫引《搜真玉鏡》「[⿰亻䓂],古臥切。」(516d)、同十一畫引《搜真玉鏡》「[⿰亻𧥿],信、過二音。」(517b)、「𠋜」「⿰亻䓂」「⿰亻𧥿」は近形同音、おそらく同一字種である。
 「諐」は《説文》十篇下《心部》「愆,過也。諐,籒文。」とある。字はまた「⿰亻𧥥」に作る。《可洪音義》卷三十《廣𪪺明集》第二十二卷音義「[⿰亻𧥥],丘𠃵反。」(60/576b)対応経文:《廣弘明集》卷二十「育王莫大之愆。」(T52,p0256b)、「⿰亻𧥥」は「諐」が変化した字である。唐《梁嘉運墓誌》「六行莫[⿰亻𧥥]」(参《碑別字新編》(336)、《廣碑別字》(555))、S.799《隸古定尚書》「弗[⿰亻𧥥]于六𡵯七𡵯」(今文「不愆于六步七步」)(参《敦煌俗字典》(319))、P.2748《古文尚書》「時人丕則有[⿰亻𧥥]。……。厥[⿰亻𧥥],曰:“朕之[⿰亻𧥥]。”」(今文「時人丕則有愆。……。厥愆,曰:“朕之愆。”」)は全てその例。
 「⿰亻⿱小言」「⿰亻䓂」「⿰亻𧥿」は「⿰亻𧥥」が変化した字であり、ゆえに「諐」が変化した字である。「古臥切=音過」は望訓生音、「音信」は望形生音。《考釋》(32)、《續考》(525)参照。

【䣏】916 ケイ 義未詳 〔海篇〕䣏、音經。
《龍龕》卷四《邑部》平聲 (453)
  ,俗。,正。音恭。亭名,邑名。二。
 「䣏」は「䢼」の加旁異体字である。《慧琳音義》卷八十四《古今譯經圖記》第一巻音義「䢼亭湖,今譯《經圖記》中從人作“䣏亭”,書寫誤也。」(3276)、《可洪音義》卷二十四《古今譯經圖紀》第一巻紀文音義「䣏,居容反。𠅘名也。正作䢼。」(60/336c)、対応経文:唐・靖邁撰《古今譯經圖紀》卷一「遂行達䣏(宋、元、明本作“䢼”)亭湖廟。」(T55,p0348c)。「音經」は「音恭。亭名。」を「音恭亭切。」と読み誤ったものである。

【𠋞】919 チ 義未詳 〔字彙補〕𠋞、音地。
《龍龕》卷一《人部》平聲 (25)
  𠋞,俗。音虵。
 待考。「音地」は「音虵」の誤り。
 「虵(蛇)」の加旁異体字の可能性がある。《漢語大字典・人部》「𠋞,…。按:疑即“虵(蛇)”的俗字。」(229a)。

【𠌕】995 キヨウ 義未詳 〔篇海大成〕𠌕、音共。
《篇海》卷一《雑部》平聲 (260b)
  𠌕,渠脂切。
 「𠌕」は「𠁭」が変化した字である。《廣韻》平聲《支韻》巨支切「𠁭,參差也。」(44)、「𠌕」「𠁭」は近形類音である。「音共=渠用切」は「渠脂切」の誤。

【㑸】998 エウ 義未詳 〔海篇〕㑸、音姚。
《篇海》卷十五《人部》十畫引《搜真玉鏡》 (516d)
  ,銀嬌切。
 「㑸」はおそらく「喬」あるいは「僑」が変化した字である。《廣韻》平聲《宵韻》巨嬌切「喬,髙也。」(150)。「喬」はまた「𠳮」に作る(参《干禄》平聲「𠳮喬,上俗下正。」)。「𠳮」「㑸」は近形同韻である。「銀嬌切」の上字「銀」は「鉅」の訛と思われる。

【𠌚】999 ロウ 義未詳 〔海篇〕𠌚、音弄。
《新修玉篇》卷三《人部》十畫引《類篇》 (26a)
  [⿰⿲亻丨丨⿱壬⿹𠃌廾],音弄。
《篇海》卷十五《人部》十畫引《類篇》 (516d)
  [⿰⿲亻丶丿⿱壬⿹𠃌廾],音弄。
《篇海》卷十五《人部》十畫引《搜真玉鏡》 (517b)
  [⿰⿲亻丨丨⿱王⿹勹廾],音弄。
 待考。

【𠌞】1000 ソウ 義未詳 〔字彙補〕𠌞、音叟。
《龍龕》卷一《人部》上聲 (31)
  [⿰亻⿱白反][⿰亻𦤁],舊藏作“叟”。蘇走反。又俗音魯。義不相應。二。
《字彙補》丑集《夊部》補字 (496c)
  𠌞,心走切,音叟。《篇韻》云:“俗音魯。與義不相應。”
 「𠌞」は「叟」が変化した字である。《可洪音義》卷二十七《續高僧傳》第六卷音義「[⿳𠂊旧夊],蘇走反。」(60/467b)対応経文:唐・道宣撰《續高僧傳》卷六「抑其前見之叟。」(T50,p0470a)、《新修玉篇》卷二十《白部》引《類篇》「[⿱伯皮],音叟。」(178d)、《篇海》卷七《白部》引《類篇》「[⿱伯皮],音叟。」(358c)、「⿳𠂊旧夊」「⿱伯皮」「𠌞」は近形同音、同一字種であり、全て「叟」の変化した字である。

【𠍚】1070 ケン 義未詳 〔字彙補〕𠍚、音蹇。
《字彙補》子集《人部》補字 (463b)
  𠍚,古㸃切,音蹇。出《釋典》。
 「𠍚」は「偃」が変化した字である。《玉篇》卷三《人部》「偃,乙蹇切。」(53)。「𠍚」「偃」は近形同韻である。「音蹇」は反切上字が脱落したものと思われる。

【𠍛】1071 エン 義未詳 〔字彙補〕𠍛、音偃。
《字彙補》子集《人部》補字 (463b)
  𠍛,于貶切,音偃。見《釋典》。
 「𠍛」は「偃」が変化した字である。

【𠍝】1072 音義未詳 〔字彙補〕𠍝、音無考、見穆天子傳。
 原文は《穆天子傳・卷四》「好獻枝斯之石四十,𠍝𤕁𠢮𦉔珌佩百隻,琅玕四十,𩟜𡮖十篋。」である。「𠍝」「𤕁」「𠢮」「𦉔」「𩟜」「𡮖」など宝石名であろうが、この本は他にも奇字が数多い。

【𠍗】1074 クワイ 義未詳 〔海篇〕𠍗、音會。
《新修玉篇》卷三《人部》十一畫引《類篇》 (26b)
  𠍗,音會。
《篇海》卷十五《人部》十一畫引《類篇》 (517b)
  𠍗,音會。
 「𠍗」は「會」の異体字である。《玉篇》卷十五《會部》「會,胡外切。𣌭㞧,並古文。」(296)、「𠍗」は「𣌭」が変化した字である。

【𠍃】1075 キ 義未詳 〔海篇〕𠍃、音饑。
《龍龕》卷一《人部》平聲 (24)
  〾𠍃,俗。音〾飢。
 𠍃は訳音字、無義である。
 《玄應音義》卷十一《增一阿含經》第十七卷音義「拘翅,施豉反,或作俱耆羅鳥,梵言訛耳。此鳥聲好形醜,從聲爲名也。經文作𠍃、𪅌二形,非也。」(507)、《可洪音義》卷二十五《一切經音義》第十一卷音義「𠍃𪅌,上音飢,下音梨,都是飢字切脚也。見兩本作狗飢,一本作拘𠍃,並經文作居梨反,鳥名,拘𠍃羅也。𪅌字是飢字韻也。應和尚以拘翅字替之,非也。」(60/367b)、これらによれば「𠍃」「𪅌」は「飢」の切脚字(反切下字)であり、「狗飢(𠍃)」の二字で「居梨反」と読み、鳴き声からとられた鳥名「拘𠍃羅」を表すという。対応経文:東晋・瞿曇僧伽提婆譯《增壹阿含經》卷十七「有此四鳥。云何為四?或有鳥聲好而形醜,或有鳥形好而聲醜,或有鳥聲醜形亦醜,或有鳥形好聲亦好。彼云何鳥聲好而形醜?拘翅羅(宋、元、明本作“拘抧羅”)鳥是也。是謂此鳥聲好而形醜。」(T02,p0634b)。
 「飢」「𠍃」「𪅌」「抧」は全て「居梨反」の反切下字を担う訳音字である。《叢考》(63)は「𠍃」を「飢」の加旁異体字とするが誤り、「𠍃」「飢」は異文であるが異体字ではない。《考正》(9)参照。

【𠎭】1140 音義未詳 〔字彙補〕𠎭、音義未詳。
 待考。

【𠏛】1208 キヨ 義未詳 〔字彙補〕𠏛、求于切、音渠。
《龍龕》卷一《人部》平聲 (28)
  [⿰亻⿸广⿳旦八力],俗。[⿰亻豦],通。音渠。二。
《新修玉篇》卷三《人部》十二畫引《古龍龕》 (26d)
  [⿰亻⿸广⿱目夯][⿰亻豦],二音渠。
《篇海》卷十五《人部》十二畫引《龍龕》 (517d)
  [⿰亻⿸广⿱共力][⿰亻豦],二音渠。
《字彙補》子集《人部》補字 (463d)
  𠏛,求于切,音渠。義闕。
 「𠏛」は「⿰亻⿸广⿳旦八力」の訛、「⿰亻⿸广⿳旦八力」は「⿰亻豦」が変化した字である。なお、「⿰亻豦」は「詎」の異体字である。《考正》(13)参照。

【𠏽】1243 音未詳 人名。 〔字彙補〕𠏽、印藪有孔𠏽印。
 待考。

【𠐠】1266 音義未詳 〔字彙補〕𠐠、方國之𠐠、言國之𠐠、乳國之𠐠、見元子、音未詳。
 待考。

【𠐹】1286 音未詳 𠐹伽は銀錢をいふ。 〔字彙補〕𠐹、音未詳。〔瀛州勝覽〕榜葛刺市、用銀錢曰𠐹伽。
 「𠐹」は「儻」が変化した字である。《西洋朝貢典錄》卷中「其交易以銀錢,名曰倘伽。」とあり、それを引いて《廈門志》卷八「儻伽」とある。《字鑑・上聲》に「儻,…。俗作“倘”。」とある。「𠐹」は「儻」の字形を誤ったものである。

【𠑐】1320 ゲウ 義未詳 〔海篇〕𠑐、音堯。
《篇海》卷一《雑部》平聲 (260a)
  𠑐,音尭。
 待考。《古俗字略》卷二《蕭韻》(50c)は「堯」の古字とする。

【𠑞】1320 サイ 義未詳 〔海篇〕𠑞、音寨。
《篇海》卷十五《人部》十六畫引《搜真玉鏡》 (518d)
  [⿲亻丨⿱臾退],直介切。
 「𠑞」は「⿲亻丨⿱臾退」の訛、「⿲亻丨⿱臾退」は「⿰介遺」が変化した字である。
 明州本《集韻》去聲《夬韻》除邁切「[⿰介遺],遺也。」(529)とあり、「𠑞」「⿰介遺」は同音である。「貴」はまた「䝿」に作り(《干禄・去聲》「貴䝿,上通下正。」)、「⿰介遺」が変化したのが「𠑞」である。字はまた「𠑌」に作り、《類篇・辵部》「𠑌,除邁切。遺也。」とある。また「𫵒」に作り、明州本以外の《集韻》同位置には「𫵒,遺也。」とある。また「⿺辵貴」に作り、《五音集韻》去聲《怪韻》除邁切「[⿺辵貴],遺也。」とある。
 「遺」は「排泄する」の意味があり、《史記・廉頗藺相如列傳》「廉將軍雖老,尚善飯,然與臣坐,頃之三遺矢矣。」司馬亭索隱「謂數起便也。矢一作屎。」、《漢書・東方朔傳》「先是,朔嘗醉入殿中,小遺殿上,劾不敬。」などに例がある。また呉語方言で「寨」に「排泄する」の意味があり、《漢語方言大詞典》「寨污,〈动〉大便。吴语。浙江宁波。应钟《甬言稽诂・释疾病》:“今称大便曰~。”」(6947)などに例がある。
 したがって「⿰介遺」は「介」(「寨」と同韻)を声符「遺」を意符とする「寨」の形声異体字であり、「𠑞」はその変体である。《越諺》卷下《疊文成義》「𠑞,寨。謂出大恭、小解、痢疾不止者也。《篇海》。」に例がある。《續考》(528)参照。

【𠑡】1321 テン 義未詳 〔海篇〕𠑡、音諂。
《新修玉篇》卷三《人部》十七至十八畫引《奚韻》 (27d)
  𠑡,丑咸切。行𠑡。
《篇海》卷十五《人部》十八畫引《奚韻》 (519a)
  𠑡,丑咸切。行―也。
 「𠑡」は「𠐩」が変化した字である。
 《廣韻》上聲《范韻》丑犯切「𠑆,𠑆行。」(338)、「𠑡」「𠑆」は同音同義である。また《玉篇》卷三《人部》「𠐩,丑減切。癡也。」(57)、《名義》卷三《人部》「[⿰亻𨵁],丑减反。癡也。」(21a)、《集韻》上聲《范韻》丑犯切「𠐩,癡也。」(457)、《類篇》卷八上《人部》「𠑑,五(丑)感切。癡也。又丑減切,又丑犯切。」(284b)、「𠐩」「⿰亻𨵁」「𠑑」「𠑆」は近形同音同義である。
 上の字は全て近形同音であり、「𠐩」の変化した字である。「行𠑡」「𠑆行」はおそらく妄補・妄改で、「癡也」の誤りである。《玉篇疑難字研究》(324)参照。

【𠑰】1333 キン 義未詳 〔海篇〕𠑰、音欣。
《篇海》卷一《雑部》去聲 (260b)
  𠑰,許禁切。
 「𠑰」は「鑫」が変化した字である。「鑫」は《玉篇》卷十八《金部》「鑫,呼龍切。又許金切。」(330)とあり、「𠑰」と近形同音である。「金」旁は俗に「舍」に作る(参《正字通》卷十六《金部》「鋪,俗作舖。」)ため、「鑫」もまた「𠑰」に作る。「禁」は平・去二声をもつ(参《廣韻》(220,441))ため、《篇海》は誤って去声字としているが、正しくは平声字である。

【𠒏】1379 音未詳 元始上皇丈人の字。 〔字彙補〕𠒏、元始上皇丈人法字、𠒏、見三尊譜録。
 待考。《正統道藏》では「⿱𡗗无」に作る。

【𠒮】1398 音未詳 卜兆の一。 〔論衡、卜笙〕武王伐紂、卜之而龜𠒮。
 「𠒮」は「皵」の換旁異体字である。《考釋》(437)参照。

【𠓊】1407 タン 義未詳 〔字彙補〕𠓊、丁甘切、音丹。
《龍龕》卷一《光部》平聲 (180)
  𠓊,俗。,正。音暉。光―也。二。
 「𠓊」は「輝」が変化した字である。「軍」「單」は近形のため俗に換旁される。《可洪音義》卷十三《中本起經》下卷音義「撣,正作揮。」(59/1032a)はまたその例である。「音丹=音單」は望形生音の誤。

【𠓙】1414 キュウ 義未詳 〔字彙補〕𠓙、香沖切、音𧽀。
《篇海》卷一《雑部》去聲 (260c)
  [⿱⿰⿺先丶⿺先丶⿰⿺先丶⿺先丶],香仲切。
 「𠓙」は「耄」の異体字である。「⿺先丶」旁は「老」が変化したもの。「香沖切」は「香仲切」の訛、「香仲切」は誤り。《考釋》(45)参照。

【𠓞】1421 シツ 義未詳 〔海篇〕𠓞、音疾。
《新修玉篇》卷十五《入部》引《川篇》 (140b)
  𠓞,子入切。
《篇海》卷十五《入部》引《川篇》 (521d)
  𠓞,子入切。
 「𠓞」は「亼」が変化した字である。《説文》卷五下《亼部》「亼,三合也。」、《廣韻》入声《緝韻》秦入切「𠓛,《説文》云:“三合也。”又子入切。」(532)、「𠓞」「亼」「𠓛」は近形同音、同一字種である。《考釋》(35)参照。

【𠓣】1428 タフ 義未詳 〔海篇〕𠓣、音箚。
《龍龕》卷四《入部》 (528)
  𠓣,宅田反。
 待考。

【𠇒】1429 キヨウ 義未詳 〔海篇〕𠇒、音供。
《新修玉篇》卷十五《入部》引《川篇》 (140a)
  𠇒,音供。
《篇海》卷十五《入部》引《川篇》 (521d)
  𠇒,音供。
 待考。《古俗字略》卷四《宋韻》(107d)は「𠇒」を「供」の古字としている。

【𠓦】1434 音義未詳 〔字彙補〕𠓦、音未詳、見佩觿辨證。
《字彙補》子集《入部》補字 (469a)
  㒴𠓦,二字見《佩觿辨證》。㒴,音骨,出也。𠓦,音未詳。
 「㒴」「𠓦」は「甶」が変化した字である。《佩觿》卷三「田甶,上徒年翻,土田。下分物翻,鬼頭。」とある。杨宝忠(2015)《〈汉语大字典〉人部疑难字考释》02[𠓦]参照。

【𠓿】1449 キン 義未詳 〔海篇〕𠓿、音琴。
《新修玉篇》卷十五《入部》引《川篇》 (140a)
  [⿳入韭韭],音琴。
《篇海》卷十五《入部》引《川篇》 (521c)
  [⿳入韭韭],音琴字。
 「𠓿」は「⿳入韭韭」の訛、「⿳入韭韭」は「琴」の説文古文を楷書化した字である。《考釋》(42)参照。なお「琴」の説文古文は楚文字による。

2016/04/07

《大漢和辞典》第一巻中の難字1

【𠀓】【𠀦】【𠀸】【𠁠】【𠂐】 【𠂟】【𠂧】【𠪃】【𠧝】【𠂸】
【𠃺】【𤱡】【㐤】【𥝀】【𠄿】 【亠】【𠅂】【𠅚】【𠅦】【𠆋】
【𠆐】【𠆑】【𠆚】【𠆟】【𠇳】 【𠇵】【𠇯】【𠈦】【𠊏】【𠋗】