2016/11/08

《大漢和辞典》第二巻中の難字5

【𠙼】【叺】【𠯀】【𠮼】【𠯃】 【𠯂】【𠯄】【㕨】【吔】【𠮽】
【𠯷】【𠯪】【㕴】【㕵】【𠯭】 【𠯱】【𠯫】【𠯴】【𠯲】【𠯰】
【𠰼】【咑】【𠰽】【𠰾】【𠱀】 【𠰺】【㕽】【𠱴】【𠲙】【𠲚】
【哋】【𠀷】【𠀹】【𠲎】【𠲑】 【𠴄】【𠴀】【𠳬】【𠵴】【𠵬】
【㖫】【𠵱】


【𠙼】3266 クワ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠙼、音寡。
《篇海》卷二《口部》引《搜真玉鏡》 (281c)
  𠙼,古瓦切。
 「𠙼」はおそらく「冎」が変化した字である。《叢考》(142)参照。

【叺】3267 セキ 義未詳 〔五音篇海〕叺、丑入切、音尺。
《篇海》卷二《口部》引《搜真玉鏡》 (281c)
  ,丑入切。
 「叺」は「入」の加旁異体字である。《虛空藏菩薩能滿諸願最勝心陀羅尼求聞持法》「南牟 阿迦捨 揭婆耶 唵 阿唎 迦(入(明、乙本作“叺”))麼唎 慕唎 莎嚩訶 薄伽梵言。」(T20,p0601c)に例がある。「丑入切」は「刃入切」の誤りと思われる。

【𠯀】3309 セン 義未詳 〔五音篇海〕𠯀、音川。
《龍龕》卷二《口部》平聲 (266)
  [⿰口⿱穴𫏬]𡃕𠾮[⿰口⿱穴射]𠯀,五俗,音穿。
 待考。

【𠮼】3310 ケウ 義未詳 〔五音篇海〕𠮼、音噭。
《龍龕》卷二《口部》去聲 (273)
  [⿲吕⿰丨丿吕]𠮼呌,三俗。,正。古吊反。鳴也,遠聲也,亦喚也。與𠮧同。四。𠮧,同上。―喚也。
 「𠮼」は「叫」が変化した字である。《叢考》(299)参照。

【𠯃】3311 ブ 義未詳 〔五音篇海〕𠯃、音武。
《篇海》卷二《口部》四畫引《搜真玉鏡》 (282a)
  𠯃,音武。
 待考。

【𠯂】3312 シ・ゲイ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠯂、音慈、又音倪。
《篇海》卷二《口部》引《搜真玉鏡》 (281c)
  𠯂𡥄,慈、倪二音。
 待考。

【𠯄】3313 ジン 義未詳 〔字彙補〕𠯄、人印切、音刃。
《龍龕》卷二《口部》去聲 (273)
  𠯄,俗。音刃。
 「𠯄」は「訒」の換旁異体字である。《可洪音義》卷八《佛說孛經》音義「吃𠯄:上音訖。下音刃。難言也。正作“訒”。」(59/821c)対応経文:呉・支謙訳《佛說孛經抄》「孛曰:人不與語,有十事:慠慢,魯鈍,憂怖,喜預,羞慚,吃𠯄(元、明本作“肕”),仇恨,凍餓,事務,禪思;是爲十事。」(T17,p0732a)、「吃𠯄」の前後の「羞慚」「仇恨」といった語はみな同義字を重ねた熟語であり、したがって「𠯄」は「吃」に近しい義をもつ字である。《龍龕》卷二《口部》入聲「吃,許訖反。口―難言也。」(276)、《廣韻》去聲《震韻》而振切「訒,難言。」(392)、「𠯄」「訒」は近形同音同義、偏を入れ替えた異体字である。《考正》(69)、《可洪音義研究》(148)参照。

【㕨】3314 ハン 義未詳 〔五音篇海〕㕨、音梵。
《龍龕》卷二《口部》平聲 (269)
  [⿰口⿵凢丶],俗。音凡。
 「㕨」は訳音字、無義である。《陀羅尼雜集》卷四「伊㕨摩夜,收盧多咩,迦悉汦,三摩夜。」(T21,p0604b)等に用例がある。《龍龕研究》(67)、《考釋》(138)、《佛典疑難字研究》(87)参照。

【吔】3315 ヤ・タ 義未詳 〔五音篇海〕吔、音也、又音陀。
《龍龕》卷二《口部》平聲 (267)
  ,俗。也、陁、誕三音。
 「吔」は訳音字、無義である。
 《可洪音義》卷三《大方等大集經》第二十二卷音義「婆吔,以者、以歌二反。正作“虵”。又音移,不与虵䖝同呼也。《寶星經》作“婆耶”。郭氏音誕,非也。」(59/624a)、「以者反」と「也」は同音である。また《可洪音義》卷五《悲華經》第一巻音義「吔婆,上吐何反。」(59/717b)対応経文:北涼・曇無讖訳《悲華經》卷一「研閦阿婆婆禰陀舍尼 禪那路伽陀兜波婆散尼 薩婆因提浮摩坻千坻 薩婆薩婆 婆摩薩婆波吔婆叉夜迦隸 懼迦隸婆闍尼 路伽㝹達舍那比婆」(T03,p0170a)、「吐何反」と「陁」は同音である。《考正》(69)参照。
 「音誕」は《郭迻經音》に由来する。《可洪音義》卷二十三《陁羅尼雜集》第六卷音義「邲吔,上毗必反。下音地,借為亭夜反。《七佛呪》作邲虵。《江西音》作徒解反。又郭氏音誕,又哋字,郭氏作丁吏反,非也。《川音》作虵,音虵,非也。今定取地字呼。」(60/289c)、《陀羅尼雜集》卷六「目䩭利 庭迦斯 具利 乾陀梨 陀羅邲哋(宋、元、明本作“咃”) 摩蹬祇 福迦羅斯」(T21,p0615c)、《集韻》去聲《換韻》徒案切「訑,慢訑,弛縱意。」(559)、《洪武正韻》去聲《諫韻》杜晏切「誕,大也,妄也。古作“訑”。」、郭氏は「吔」を「訑」の異体字と考えたものと思われる。《郭迻經音研究》(52)参照。

【𠮽】3316 ロウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠮽、音弄。
《篇海》卷二《口部》引《搜真玉鏡》 (281c)
  𠮽,音弄。
 「𠮽」は「弄」が変化した字である。「弄」は俗に「弁」に作る。《可洪音義》卷六《月燈三昧經》第七卷音義「𠺑弁,音弄。又音卞,悮。」(59/757c)対応経文:高齊・那連提耶舍訳《月燈三昧經》卷六「調戲笑弄毀善人,自稱已發菩提心。」(T15,p0588b)、「弁」「𠮽」は近形である。

【𠯷】3408 ジヨウ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𠯷、音仍。
《龍龕》卷二《口部》平聲 (267)
  [⿰口⿵乃㐅],俗。音仍。
《篇海》卷二《口部》五畫引《龍龕》 (282c)
  𠯷,音仍。
 「𠯷」は「⿰口⿵乃㐅」の訛、「⿰口⿵乃㐅」はおそらく「⿰口⿱乃人」が変化した字、「⿰口⿱乃人」はおそらく「仍」の加旁異体字である。《篇海》卷二《口部》五畫引《搜真玉鏡》「[⿰口⿱乃人],女陵切。」(282c)。「仍」は虚詞に用いられるため、口偏を加え「⿰口⿱乃人」となり、変化して「⿰口⿵乃㐅」となったものと思われる。《考釋》(143)参照。

【𠯪】3409 ガツ・ガチ 義未詳 〔字彙補〕𠯪、五葛切、音遏。
《篇海》卷二《口部》引《搜真玉鏡》 (281c)
  𠯪,五葛切。
 待考。《考釋》(140)はおそらく「囐」の換声旁異体字であるとするが、同音であることしか根拠がない。

【㕴】3410 チン 義未詳 〔龍龕手鑑〕㕴、長林切、音沈。
 「㕴」は「沈」の換旁異体字である。《可洪音義》卷十五《摩訶僧祗律》第九卷音義「㕴吟,上直林反,誤。」(59/1105c)対応経文:東晋・佛陀跋陀羅共法顯訳《摩訶僧祇律》卷九「聞者生疑,為爾、不爾?沈吟而住。」(T22,p0302a)、また《可洪音義》卷三《大哀經》第二卷音義「[⿰口𠃔]吟,上直林反。沒也,三思也,謇訥也。正作沈、霃二形也。下魚今反。」(59/647c)対応経文:西晋・竺法護訳《大哀經》卷二「無有狐疑,亦無沈吟。」(T13,p0418b)、「㕴吟」「沈吟」は異文である。「沈」が下字の「吟」の影響で偏が口に変わったのが「㕴」と考えられる。《隨函錄研究》(128)、《可洪音義研究》(112)参照。

【㕵】3411 バウ・コク 義未詳 〔海篇〕㕵、音忙、去聲、又音國。
《龍龕》卷二《口部》入聲 (277)
  ,俗。音國。
 「㕵」は「囯(國)」の異体字である。《叢考》(300)参照。
---
《篇海》卷二《口部》引《搜真玉鏡》 (281c)
  ,莫浪切。
 「㕵」は「𫩔(吂)」が変化した字である。《玉篇》卷五《口部》「吂,莫桑切。使人問而不肯荅曰吂。」(101)、《廣韻》去聲《宕韻》莫浪切「吂,老人不知。」(428)、また《新修玉篇》卷五《口部》引《類篇》「𠮵,莫浪切。問而不。」(43d)、「吂」「𠮵」は同音同義また「𠮵」「㕵」は近形同音、「㕵」「𠮵」は「吂」の動用異体字「𫩔」が変化した字である。《叢考》(300)参照。

【𠯭】3412 ヒヨク 義未詳 〔五音篇海〕𠯭、芳逼切。
《龍龕》卷二《口部》入聲 (276)
  𠯭,俗。芳逼反。
 「𠯭」は「畐」が変化した字である。《廣韻》入聲《職韻》芳逼切「畐,道滿也。」(528)、「𠯭」「畐」は近形同音、また《廣韻》《集韻》の同一小韻内の字は全て「畐」及び「畐」を声符とする字である。《考釋》(141)参照。

【𠯱】3413 リヤウ 義未詳 〔五音篇海〕𠯱、音兩。
《新修玉篇》卷五《口部》四畫引《類篇》 (44b)
  [⿰口𠓜],音兩。
《篇海》卷二《口部》四畫引《類篇》 (282a)
  𠯱,音兩。
 待考。

【𠯫】3414 クワ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠯫、音戈。
《龍龕》卷二《口部》平聲 (270)
  𠯫,《川篇》各何反。
《新修玉篇》卷五《口部》四畫引《會玉川篇》 (44b)
  𠯫,各何切。
《篇海》卷二《口部》四畫引《川篇》 (282a)
  𠯫,各何切。
《篇海》卷二《口部》四畫引《搜真玉鏡》 (282a)
  𠯫,音歌。
 「𠯫」は「𢎄」が変化した字である。《龍龕》卷四《弋部》平聲「𢎅[⿹弋〾口],二俗。𢦪,今。音歌。三。」(526)、これらの字と「𠯫」は近形同音である。《考釋》(140)参照。

【𠯴】3415 ヘン 義未詳 〔海篇〕𠯴、音汴。
《篇海》卷二《口部》四畫引《搜真玉鏡》 (282a)
  𠯴,音卞。
 「𠯴」は「弄」の加旁異体字「哢」の異体字である。《可洪音義》卷十四《佛本行集經》第十二卷音義「玩𠯴,音弄。正作“哢”。」(59/1078b)対応経文:隋・闍那崛多訳《佛本行集經》卷十二「見已欲施一切雜寶種種玩弄無憂之器,城內所有一切諸女,悉可來集於我宮門。」(T03,p0707c)、《可洪音義》卷二十七《高僧傳》第十三卷音義「還𠯴,音弄。」(60/459c):対応経文:梁・慧皎撰《高僧傳》卷十三「反折還〔喉疊〕哢(宋、元、明、宮本作“弄”)。」(T50,p0413c)にある通り。「音卞」は「音弄」の訛。

【𠯲】3416 ゲツ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠯲、音月。
《篇海》卷二《口部》四畫引《搜真玉鏡》 (282a)
  𠯲,音月。
 待考。

【𠯰】3417 シフ 義未詳 〔五音篇海〕𠯰、音什。
《龍龕》卷二《口部》入聲 (278)
  𠯰,音十。
 待考。

【𠰼】3418 ハツ・サフ 義未詳 〔五音篇海〕𠰼、普末切、又音帀。
《龍龕》卷二《口部》入聲 (276)
  𠶴咂𠰼,三俗。𠯗,正。子荅反。入口也。四。
《篇海》卷二《口部》四畫引《搜真玉鏡》 (282a)
  𠰼,普末切、又音帀。
 「𠰼」は「𠯗(咂)」が変化した字である。「普末切」(=「音巿」)は「音帀」あるいは望形生音の誤り。《考釋》(139)参照。

【咑】3503 音未詳 飛𡃤咑は地名。 〔字彙補〕咑、音未詳、飛𡃤咑、倭國地名。
 待考。

【𠰽】3512 ジヨウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠰽、音冗。
《篇海》卷二《口部》五畫引《搜真玉鏡》 (282c)
  𠰽,音冗。
 待考。

【𠰾】3514 キヨ 義未詳 〔五音篇海〕𠰾、音居。
《龍龕》卷二《口部》平聲 (267)
  唓𠰾啹,三俗。音居。
 「𠰾」は「啹」が変化した字で、訳音字、無義である。《龍龕研究》(243)参照。

【𠱀】3515 ハ・リン 義未詳 〔龍龕手鑑〕𠱀、音波、又、音倫。
《龍龕》卷二《口部》平聲 (268)
  𠱀,俗。[⿰冫皮]、[⿰彳侖]二音。
 「𠱀」は音訳字・擬音字、無義である。「音倫」は「俻」の誤り。
 《可洪音義》卷五《大樹緊那羅王所問經》第四卷音義「𠱀迦:上音波。下音加。上又或作“跛”,布火反。《純真經》作“波妿”。」(59/725b)対応経文:鳩摩羅什譯《大樹緊那羅王所問經》卷四「波(宋、元、宮本作“啵”;明本作“𠱀”;聖本作“嘙”)迦奢呢」(T15,p0388b),また同卷二十三《陁羅𡰱雜集》第七卷音義「𠱀,上音波,又郭氏作波、俻二音。《江西音義》作歩麼反,《川音》作披音。」(60/290c)対応経文:《陀羅尼雜集》卷七「牟尼𠱀婆散濘」(T21,p0618a)等に用例がある。《考正》(71)参照。

【𠰺】3516 タイ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𠰺、音代。〔字彙補〕𠰺、出釋典隨字函。
《龍龕》卷二《口部》去聲 (273)
  𠰺,俗。音代。
 「𠰺」は音訳字、無義である。《可洪音義》卷二十三《陁羅𡰱雜集》第十卷音義「𠰺,音代」(60/295a)対応経文:《陀羅尼雜集》卷十「婆𠰺啹[⿰口氏]利」(T21,p0636c)等に用例がある。《龍龕研究》(68)参照。

【㕽】3519 シ 義未詳 〔龍龕手鑑〕㕽、音似。
《龍龕》卷二《口部》去聲 (275)
  ,詞孕反。
 「㕽」は「𠳎」の減画異体字または訛字である。また、「𠳎」は音訳字、無義である。法雲編《翻譯名義集》卷二「僧伽彼,或𠳎(詞孕)多,此云師子。」(T54,p1088a)、「㕽」「𠳎」は梵語の「sim」を表す。《佛典疑難字研究》(88)参照。

【𠱴】3614 音未詳 口をとぢる。 〔字彙補〕𠱴、音未詳。〔呂覽、重言〕君呿而不𠱴。〔注〕𠱴、閉。
《字彙補》丑集《口部》補字 (483b)
  𠱴,《呂氏春秋》君呿而不𠱴。《注》閉口也。○愚按此爲“唫”字之譌。
 「𠱴」は「唫」が変化した字である。日抄本《呂氏春秋》は該字を「唫」に作る。

【𠲙】3617 クワツ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠲙、枯託切、音闊。〔字彙補〕𠲙、與𠰾不同。
《篇海》卷二《口部》五畫引《搜真玉鏡》 (282c)
  [⿰口尻],苦托切。
 「𠲙」は「⿰口尻」の誤りである。「苦托切」の「托」は「㧌」「挑」等の誤りと思われる。

【𠲚】3618 イ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠲚、烏計切、音懿。
《篇海》卷二《口部》六畫引《搜真玉鏡》 (283b)
  𠲚,烏計切。
 「𠲚」はおそらく「䚷」の異体字である。《可洪音義》卷三《大集月藏經》第一卷音義「吇,烏礼反。正作“𠯋”、“䚷”二形也。」(632b)とある。「吇」にさらに「子(𠔃)」を加えた字が「𠲚」だと思われる。

【哋】3619 テツ 義未詳 〔五音篇海〕哋、地夜切、耋去聲、出呪中。
《新修玉篇》卷五《口部》六畫引《類篇》 (45c)
  ,地夜切,出呪。
《篇海》卷二《口部》六畫引《類篇》 (283b)
  ,地夜切,出呪中。
 「哋」は音訳字、無義である。《可洪音義》卷九《七佛所說神呪經》第一卷音義「哋,亭夜反。」(59/878c)対応経文:《七佛所說神呪經》卷一「乾陀犁陀羅邲地(宋、元、明、甲本作“犁陀羅邲蛇”)。」(T21,p0542b)等に用例がある。

【𠀷】3620 キフ 義未詳 〔字彙補〕𠀷、渠泣切、音及。
《篇海》卷十三《一部》引《搜真玉鏡》 (497b)
  𠀷,古的切。
 「𠀷」は「鬲」が変化した字である。《考釋》(144)参照。

【𠀹】3621 クン 義未詳 〔字彙補〕𠀹、古屯切、音君。
《新修玉篇》卷一《一部》引《會玉川篇》 (8a)
  𠀹,音君。
《篇海》卷十三《一部》引《川篇》 (497b)
  𠀹,音君。
 「𠀹」は「君」の傳抄古文を楷書化したものである。

【𠲎】3622 バツ 義未詳 〔康煕字典〕𠲎、江西隨函、音伐。
《龍龕》卷二《口部》入聲 (277)
  𠲎,《江西随凾》音伐。
 「𠲎」は音訳字、無義である。《可洪音義》卷二十三《陁羅𡰱雜集》第十卷音義「𠲎多:上扶月反,第九卷作婆多字。」「𠲎多:同上,第九卷作伐多。」(60/294a)対応経文:《陀羅尼雜集》卷十「南無觀世音菩薩 坦提咃 呿羅𠲎多 呿羅𠲎多 伽呵𠲎多 伽𠲎多 伽𠲎多 莎呵」(T21,p0633c)等に用例がある。《考正》(73)、《可洪音義研究》(149)参照。

【𠲑】3623 ハウ 義未詳 〔字彙補〕𠲑、音邦、出釋典。
《龍龕》卷四《雜部》平聲 (547)
  𢁏[⿰半⿱口了],音邦。二。
 「𠲑」は「邦」が変化した字である。《叢考》(304)参照。

【𠴄】3734 キウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𠴄、音糺。
《篇海》卷二《口部》八畫引《搜真玉鏡》 (284b)
  𠴄,音糺。
 待考。

【𠴀】3735 ア・アク・レイ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𠴀、音亞、又音啞、又音唳。
《龍龕》卷二《口部》上聲 (272)
  𠴀,古文啞字。―有三音,衣賈、烏嫁、烏革三反。
 「𠴀」は「啞」が変化した字である。

【𠳬】3739 キヨウ 義未詳 〔字彙補〕𠳬、居陵切、音兢。
《龍龕》卷二《古部》 (339)
  𠳬,俗。居陵反。
 「𠳬」はおそらく「兢」の減画異体字である。《廣韻》平聲《蒸韻》居陵切「兢,兢兢,戒愼。居陵切。」(200)、「𠳬」「兢」は近形同音である。《叢考》(21)参照。

【𠵴】3860 音義未詳 〔字彙補〕𠵴、音義未詳、見釋典。
《字彙補》丑集《口部》補字 (483b)
  𠵴,音義未詳,見《釋典》。
 「𠵴」は音訳字、無義である。智廣等集《密咒圓因往生集・大寶樓閣根本呪》「覓布辣遏唥𠵴(二合)麻禰不囉(二合)𠵴」(T46,p1009b)等に用例がある。《考正》(82)参照。

【𠵬】3862 ヒ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𠵬、音皮。
《龍龕》卷二《口部》平聲 (268)
  𠵬,音皮。
 「𠵬」はおそらく「皮」の説文籀文「𠰎」が変化した字である。《叢考》(164)参照。

【㖫】3864 リヨウ 義未詳 〔龍龕手鑑〕㖫、音陵。
《龍龕》卷二《口部》平聲 (267)
  ,俗,音陵。
 「㖫」は音訳字、無義である。《宋史・種世衡列傳》「世衡在青澗城,元昊未臣,其貴人野利剛浪㖫、遇乞兄弟有材謀,皆號大王。」等に用例がある。

【𠵱】3865 音義未詳 〔字彙補〕𠵱、音義未詳、出釋典。
《字彙補》丑集《口部》補字 (484a)
  𠵱,出《釋藏》,音義未詳。○《内典》中又有“嘬”、“㘑”、“𠷌”□諸字,昔人多除口旁讀之,今附此。
 「𠵱」は「依」をもとにした音訳字、無義である。《佛說大白傘蓋總持陀羅尼經》卷一「[⿰口捺]怛末嘚哩吽發(怛)𠵱擔末哩渴渴渴兮渴兮。」(T19,p0404a)等に用例がある。《考正》(81)参照。


0 件のコメント:

コメントを投稿